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【TED】ナンシー・ルブリン 「命を救う携帯メール」

ナンシー・ルブリン 「命を救う携帯メール」

【私的要約】

いずれの国においても、年齢層によってアプローチすべきツールやメディアは異なる。
ナンシーのトークにおいては、対象は中学・高校生などの子どもたちであり、その子どもたちへは携帯メールによるアプローチの有用性が今も圧倒的に高いということが示されている(もちろん、ナンシーの活動の時期と現在においてその比重は変動してきているだろう)。
そして、携帯メールを重要視した子どもたちへのアプローチから彼女たちが見いだしたのは、父親にレイプされる少女などの悲鳴や助けを求める声であった。
しかし、対象による適切なメディア選択によって問題の可視化などは行うことができ、
彼女は自身の活動のなかで、このように抑圧された若者たちを救い出すことを行いたいと思っている。
客観的にはそのメディア選択のあり方を、そして主観的には彼女の熱意への感動を、
それらを意識させてくれる素晴らしいトークだったと思います。

【感想】

いずれにせよ、対面的状況ではコミュニケーションそれ自体の力学によって話されない独白的な声を抽出することができ、それによって初めて可視化される問題や救うべき声というのが存在する。
以前、couseraというOCWのキュレーション的サービスを行っているダフニーコラーのトークについて記事を執筆したときに、
既存の質的研究の方がウェブを介したマッシブデータ解析よりも精緻な質的研究が行えるはずで、
新たなウェブマッシブデータによる質・量的調査と、既存の方法論による質的調査などは、役割分担が重要と記述しました。
ですが、このような対面的コミュニケーション状況自体によって抑圧され表面化され得ないような声については、
実はより深い質的側面をメールや独白的ソーシャルメディアなどを利用した方が、質的にも深い探求が可能かもしれない。
そういった考えを想起させてくれたという意味でも、個人的にこのトークを見た意味はあったと思いました。

これまでは顕在化させ得なかった声を、「対象による適切なメディア選択によって可視化」することができたとして、
では、「問題解決の方法をどのように行うのか」「問題解決するための予算をどのように収集し、捻出するのか」、
「問題解決の主体をどのように組織し、動員するのか」などの問題は別の問題として残るでしょう。

実のところ、まったく違うテーマのトークからですが、
「問題解決の方法をどのように行うのか」については、このトークのテーマにおいても参考になるデクラレーションが、
ジェームズ・ハンセンの「ジェームス・ハンセン「なぜ気候変動について叫ばなければならなかったか」のトークにありました。
それについて簡単に触れつつ、ここでの感想は閉じさせて頂きたいと思います。

【TED】安替(マイケル・アンティ): 中国の巨大なファイアウォールの陰で

安替(マイケル・アンティ): 中国の巨大なファイアウォールの陰で

【感想】

このトークについても一聴すべき。

知ることができて有用な内容は、中国のインターネットというものが統制されたものであるという一点で、外国のわれわれが簡単に軽視したりしてはいけないものであることを知ることができたという点。

いかに統制されていようとも、中国国内でのアクティブユーザが3億人にも達するウェブ空間が、その存在が無意味であるほどに軽視されるべきものではないし、国際的なサービスの受け入れなどを拒否した鎖国状況であるという理由だけで批判すべきものではないという事実。

これについては、薄っぺらくしか中国の状況を認識しない人間からすると、きちんと意識はできていなかった部分のように思う。