月別アーカイブ: 2013年9月

【TED】ビル・ゲイツ「教師へのフィードバックでもたらせる変化」

私的要約:

 教師という仕事には、その仕事の良し悪しへのフィードバックと、ベストプラクティス的なものを見聞きする機会がまったくと言って良い程存在しない。
 しかし、例えば授業を録画して見直すことなどにより、自身の授業内容や方法への反省を行ったり、良い授業方法とは何かを体系化していくことはできる。
 そのような手段を実際に講じるために、ゲイツ財団の見積もりでは50億ドルの費用が必要だと見積もっているが、実はこれは教師へ支払われる給与総額の2%に満たない額でしかないため、莫大な額という訳ではない。
 ゲイツ財団ではすべての教室がこのようであることを目指している。

私的感想:

 これは日本の事例にあてはめてもそうだろうと思う。
 教師が自身の授業を映像として見直す環境はないだろうし、教師同士のピアレビュー環境が存在するのは教育実習の時くらいだろう。
 具体的な方法論としてゲイツ財団のやり方がどうであれ、教師毎の教育内容と教育方法、総じての教育効果の検証と同時に保証は本来あってしかるべきであろう。
 それは教育をサービスとして捉えるからという理由ではなく、少なくとも初中等レベルの教育が義務教育であり平等性を根本的に担保する必要があるという理由からに他ならない。
 教師自身が行う授業の録画によるフィードバック、教師同士のピアレビュー、模範的な教育・授業戦略を体系的に織り込んだベストプラクティスのパターンなど、教師に対するフィードバックシステムの構築がもたらす教育活動への影響は疑うべくもないだろう。

 教育心理学とか学習心理学の研究の中にも、学習者の学習効果を指標とした研究のみならず、教師の教育方法の向上効果を検証指標とする研究はもっとあっても良いと感じた。少なからずありそうだけれども、機会があればチェックしてみたい。

【TED】セルゲイ・ブリン「なぜグーグル・グラスなのか?」

私的要約:

 セルゲイブリンが率いるGoogleグラスチームは、スマートフォンの画面へ視線を落として注視するあり方が、今後のコミュニケーションのあり方として続いて行くものか常に疑問に思っており、それがGoogleグラスプロジェクトのきっかけだったと言う。
 そして、Googleグラスはこれまでのデバイス利用のようにデバイスへ常に注意を向けるあり方ではなく、よりユーザに自由な情報との付き合い方を可能にするものだと主張している。

私的感想:

 よく、携帯が出てきた頃に、社会学的な観点から、「公共空間に親密圏が入れ子状態になっている」という指摘があったと思う。
 それはどういうことかと言うと、友人と口と耳を仮想的に近づけあって会話するという親密な状態が、電車の中や街中という公共空間において可能になったということを指摘していた。また、電話による対話が、通常の対面的状況の対話よりも親密度が高くなるという統計的調査もあったように思う。

 そのような状況の中、スマートフォンの普及によって、「公共空間を個室化」する利用方法が卓越してきたという状況があった。それは現在進むタブレット端末の市場競争の激化の中でも増す増す進んでいる状況であろう。
(早稲田大学の社会学部准教授土橋臣吾さんなどは、女子高生の携帯利用の参与観察などで同様のことを指摘していたと思う)

 このトークでブリンは、Googleグラスは、常に画面を注視する必要がなくより自由な状況を作ることができると指摘している。
デモの映像から受ける印象もそのようなものだ。

 ともあれ、Googleグラスのようなデバイスは、個人と社会とのインターフェイスとして、社会の中に個室を作る形で社会との隔絶を推進してきたこれまでのデバイス進化のベクトルを変えるものであるのだろうか?

 その点に着目しながらこのような新技術が社会にどのような影響を与えるか考察して行きたい。
 現状では、社会に個室を作ってきたこれまでのデバイス進化のベクトルを変えてくれるものとして、期待感を持っているというのが個人的な印象である。