タグ別アーカイブ: SOLE

【TED】スガタ・ミトラ「クラウド上に学校を」

私的要約:

 話者の願いは一言でいえば、「未来の学習をデザインすること」という話者自身の言葉によって表現されていた。
 彼は実験的に、インドの誰もコンピュータの使い方など知らない路肩にコンピュータを設置し、それを利用して子どもたちが自発的な学習を行うことを幾度にも渡って実証してきた。それは、英語すらわからない子どもたちが英語でしか使えないコンピュータを利用できるようになるまでから、ゲノムの構造についての学習に至るまで、である。
 また、その自発的学習には「励まし」が有効であり、それだけで学習効果が圧倒的に向上するということもわかった。
 近代社会は官僚機構という巨大マシーンを構築し、それに当てはまる置き換え可能なパーツとして個人を構築してきているが、これからの社会は自由で自発的な在り方が求められ、社会のサブパーツのような個人が求められる訳ではない。
 だからこそ彼は、未来の学習を新たな形でデザインしたい。そのためのデータ収集をしてきているし、それを推進するためSOLEというクラウド型学校も構築してきている。
 だから、そのモデルをみなさんにも試して欲しく、それら実際のデータから未来の新たな学習の形態をデザインしたい。
 それが彼の望みであり、試みである。

感想:

 マジでまさにこういうことを自分は卒論でも修論でも描きたかったという内容で、彼は実践者であり、私は理論的素描をしようとしたといったところだろう。
 あと、トークの面白さというかウィットな感じは半端ないなぁ。
 というより何より、こういった実験を教育学者出自ではないであろう彼がやっているというのも皮肉なものである。
 とはいえ、まさに社会が変わって行くことと教育が変わって行くことはある種両輪であるかのように連動していないといけないことだけは真理である。教育は全く変われて来ていないように思うけれど。

 私自身は社会の変化がいかなるものであり、その空間編成と時間編成がどのようなものになるかについてある程度予見を立て、それとの関連において総合的に教育をいかにプロジェクトして行くかをデザインしたいと思っている。
 だから卒論においては、都市という空間編成内において、近代的な計画的教育がどのように位置付け得るかを論じようとした。
 修士論文においては、情報化によって仮想的に拡張された社会空間において、近代的教育がどのように位置付け得るかを論じようとした。
 そして、その双方に共通するものは、計画された教育ではなく学習の環境の構築に対してしか、もはや我々が教育と呼ばれる営為に計画的にコミットできることはないのではないか?という結論であった。換言すれば場の提供やルールのアウトラインの提供までを行うことしかできず、その上で自由な発達に任せることしかできない、が、その放任こそがむしろ近代が本当にはなし得なかった自発的で自由な個人を作り出す逆説的可能性を持っているのではないか?と。(私は行動経済学などにも興味があるが、この辺りの言葉から行動経済学的だと想起された方も多いだろう)。

 ともあれ、私自身が理論的に考えていた一つの実践形態が既に20年近くも前から存在したことに驚きを感じつつ、この大いなる可能性に私も何かの形でコミットしたいものだなぁと感じた。
 私の場合、都市空間の設計などともセットでこのようなクラウド型学校をいかに位置付けるかも面白そうなどとも思うけれど、まずは彼が記述しているであろう論文や実験結果をあたることから始めたい。

 なんにせよ、いやーすごいなー、可能性あるなー、って思った。